佐々木亮
長崎原爆で犠牲になった韓国人を悼む慰霊碑が長崎市の平和公園の一角、長崎原爆資料館前に建立された。6日には姜昌一(カンチャンイル)・駐日韓国大使、在日本大韓民国民団(民団)の呂健二(ヨゴニ)・中央本部団長、長崎市議や地元の高校生平和大使らが出席して除幕式があった。
式では参加者が碑に献花し、原爆が投下された時刻の午前11時2分に黙禱(もくとう)した。続いて、原爆資料館ホールで慰霊祭があった。
呂団長はあいさつで「長崎市をはじめとする日本の皆様に心より感謝申し上げます」と、日本の市民らの協力に礼を述べた。
姜大使はあいさつで、ユネスコ憲章の「人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という一節を引き、「本日の小さな一歩が韓日の模範的な協力事業として歴史に記され、世界の平和のとりでを築くことにも貢献する大きな一歩となることを願う」と述べた。
在韓被爆者支援に長年取り組んでいる平野伸人さんは、碑の意義を車のバックミラーにたとえ、「後ろを振り返るが、前に進むためのもの。過去を振り返り、韓日関係を前進させたい」とあいさつした。
碑は高さ3メートルで、韓国産の石が使われている。民団などでつくる建立委員会によると、費用は寄付に加え、韓国政府が一部を負担したという。
碑には韓国語と日本語、英語の案内文が付されている。日本語では、朝鮮半島が日本の統治下にあった太平洋戦争末期、「労働者、軍人・軍属として本人の意思に反して徴用・動員される事例が増え」としたうえで、長崎県内には当時、それまでの移住者を含め約7万人の朝鮮半島出身者が住み、数千~1万人が原爆の犠牲になった、と記した。
原爆資料館のそばには市民団体が1979年に建てた「長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼碑」がある。民団などは1990年代から碑の建立を市に要望してきたが、平和公園一帯の整備工事のため、用地が決まらなかった。10年ほど前から再び機運が高まり、碑文などの調整が続いていた。今夏、市の設置許可が得られた。(佐々木亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル